黄昏読書21 「コンビニ人間」 村田沙耶香
普通とは何か?
とあるNHKの番組で著者の別の本が紹介されていて、他にも芥川賞受賞した本があったなと思い手に取った本。
気軽に読めるかなと思っていたが、全くの逆。
読み終わった後には 重さ や 怖さ を感じた。
私達は無意識のうちに、他者を「こちら側」と「あちら側」に分ける。
そして「あちら側」つまり自分にとって、普通でないと感じた瞬間に避けようとする。
また「こちら側」の普通を押し付け苦痛を与えている。
さらに自分が普通でないと排除されないように周囲と同調しようとし、特に苦しめる。
この話は主人公を救う者は現れない。
普通でないことは治らない。
かといって、「普通なんか存在しない」「ありのままの自分でいい」「自分らしく生きよう」と称賛している類の本でもない。
現実的には、人は一人で生きていけないわけで、否応なく社会と関わる必要がある。
ただ自分の意思だけは、他人から侵害されるものではない事実は大切にしたいと思った。
あと他人に普通を強要しないよう気をつけること。
本書のメッセージは読み取りにくく、読者に委ねられる。
もう一度読むのはしばらく無理と思わせる稀有な本。