2022-01-01から1年間の記事一覧

黄昏読書25「家族じまい」桜木紫乃

ぱっとタイトルにひかれて手に取った本。 5つの章から成り、主人公は異なるものの、ひとつの家族を中心にその親類の心の動きを描いている。 決してハッピーエンドではなく、家族といえども心を通わせる難しさを、一見ドライとも思われる。 家族って、近いよ…

黄昏読書24 「嫌われた監督」鈴木忠平

元中日ドラゴンズ監督の落合博満が指揮した8年間を番記者であった作者の視点で描かれている。 8年の間に4度の日本一、すべてAクラス入りといった圧倒的な成績をあげながら、何故フロントに嫌われ、ファンに嫌われ、選手から嫌われたのか。 徹底的な個人主義…

黄昏読書23 「しろいろの街の、その骨の体温の」村田沙耶香

「コンビニ人間」の独特の世界観に刺激を受け、同じ作者の本を読んでみた。 小学校4年のクラスで仲が良かった3人は、中学2年生で久しぶりに同じクラスになる。しかしスクールカーストの中で、上中下に分類された3人はお互いに話すことはない。閉ざされた空間…

黄昏読書22 「小説8050」 林真理子

8050問題とは、高齢両親の年金で暮らす、引きこもり状態の中年成人がいる家庭のこと。 歯科医の主人公は、傍目からは羨ましがられる人生に見えるが、20歳の引きこもりの息子がいる。とあるきっかけで暴力を振るうようになり、妻や娘との関係も上手くいかなく…

黄昏読書21 「コンビニ人間」 村田沙耶香 

普通とは何か? とあるNHKの番組で著者の別の本が紹介されていて、他にも芥川賞受賞した本があったなと思い手に取った本。 気軽に読めるかなと思っていたが、全くの逆。 読み終わった後には 重さ や 怖さ を感じた。 私達は無意識のうちに、他者を「こちら側…

黄昏読書20 人新世の「資本論」  斎藤幸平

ポスト資本主義を考えよう。 資本主義は中核が勝ち続け、周辺が負け続けるシステムである。 また資本主義は人間だけでなく、自然環境からも掠奪するため、負荷を外部に転嫁することで、経済成長を続けていく。 結果、行き過ぎた資本主義によって環境問題、格…