黄昏読書23 「しろいろの街の、その骨の体温の」村田沙耶香
「コンビニ人間」の独特の世界観に刺激を受け、同じ作者の本を読んでみた。
小学校4年のクラスで仲が良かった3人は、中学2年生で久しぶりに同じクラスになる。しかしスクールカーストの中で、上中下に分類された3人はお互いに話すことはない。閉ざされた空間也価値観の中、思春期特有の屈折した心で、生きにくさを感じながら過ごしている。そして、誰とでも仲が良くカーストとは縁がない幼なじみの男子とカースト下位となった昔の友達
のある行動によって、主人公はこれまでとは違った世界を歩み出す。
思春期にありがちな自分は他の人と違うんだという優越感や劣等感。
拒絶されると自分の存在価値を否定されているように感じる絶望感。
スクールカーストについても生々しく描かれており、思いだしたくない過去を抉られるようで苦しくなる。
コンビニ人間同様に読後の爽快感はない。
ただ最後、主人公はこれまでの世界観を打ち破り、自分なりの世界への彩りを見つけることは共通している。
これは読む年代、心境によっては堪える本だ。