黄昏読書8 ナウシカ考~風の谷の黙示録~ 赤坂憲雄

「書物のもたらす真の愉悦は、それを何度でも読みかえし、そのたびにそれが以前とは異なったものであることを知り、他の意味に、すなわち意味の別次元に出会うことのうちにあるのだ」

 ロレンス『黙示録論』

 

映画「風の谷のナウシカ」を初めて見たのは、小学生の頃、近くの公民館だった。

漫画版「風の谷のナウシカ」の最新刊を買っていたのは、中学生の頃、隣校区の本屋だった。

映画、漫画ともに初めて見て、読んだときの気持ちは忘れることはない。

その後も度々、視聴してきた。

昨年はコロナで再映上し、40代、初めて映画館で見た。

年末には金曜ロードショー、2020年、再視聴。

 

マスクをしないといけない世界、瘴気がコロナだと、ナウシカの世界が今の世界に当てはまるとの論評が新聞でもあり、たまたま見つけたこの一冊。

コロナ前の発刊なので、そのことにはもちろん触れられていない。

 

ただ当時は難しくて理解できなかったが、この本を通して、宮崎駿が伝えたかった世界が少し見えた気がする。

 

二元論の否定。

「いのちは 闇の中の またたく光だ」 (ナウシカ墓所の王との会話)

光と闇、清浄と汚濁、破壊と創造といった二元論の罠を拒もうとする。

世の中、白黒はっきり分けられないし、無理にあるいはごまかすために分けようとするから混乱や衝突が起きる気がする。

村上春樹も善と悪は対極ではなく、車輪の上下のように容易に入れ替わりうるものだと言っているし、そうだと思う。

 

コロナが落ち着いたら実家の本棚にある漫画版「風の谷のナウシカ」を読んでみよう。

どんな感情が沸き上がり、どの次元に連れて行ってくれるのか、楽しみで仕方がない。

 

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